konnoe’s blog

読書と旅が趣味。人生に疲弊してみたり、希望をもってみたり、、、

2008年 ベスト本

2018/09/25更新

2008年のマイ読書ライフ、マイベスト本

ちなみに前年(2007年)のベスト本記事はこちら。
konnoe.hatenablog.com

2008年は、特に自己啓発書やビジネス書をよく読んだなぁと思います。
そういえば石原千秋か誰かが、そういう本を読むのはオジサンだけで良い、若い人間はもっとしっかりした古典を読めとかなんとか言っていたなぁ…(うろ覚えだけど。
教育書もよく読みした。その反動で小説をあまり読まない年でした。うーん(´-ω-`)
その中で自分が良かったなと思った、2008年ベスト本を10冊紹介します。


小説編

(1)三島由紀夫鏡子の家

世界の崩壊を信じる貿易会社のエリート社員杉本清一郎、私立大学の拳闘の選手深井峻吉、天分ゆたかな童貞の日本画家山形夏雄、美貌の無名俳優舟木収。名門の資産家の令嬢である鏡子の家に集まって来る四人の青年たちが描く生の軌跡を、朝鮮戦争後の頽廃した時代相の中に浮き彫りにする。

のっかけら三島由紀夫かよって感じですが(もたれそう?)。すごい退廃的です。
この本は、林真理子の「20代に読みたい名作」という本に紹介されていて、気になって手に取ったのが読み始めるきっかけ。そこで林真理子は三島のことを「アフォリズムの天才」と呼んで、「三島という人はよく私のことをわかってくれているわと、一方的な親愛を文豪に寄せる。共感のいちばん素朴な形の始まりである。」と語っている。この本を読むと「確かにそうだ」と思わせてくれるくらいアフォリズムがちりばめられている。これがこの小説の魅力1つめ。三島はやっぱりすごい。
2つめは〈アンチ私〉がいるところ。登場人物の一人である杉本清一郎。私の生き方に思いっきり蹴りをいれてくれた。なんだこいつ。
3つめは文庫4頁にわたる武井の筋肉論。筋肉のすばらしさを滔々とうたいます。三島、ぶっ飛ばし過ぎだよ。



(2)水野 敬也『夢をかなえるゾウ』

ゾウ(神様)が表れて、社会人としての生き方にはじまり、人生について教えてくれます。(説明適当すぎる)
2007年のベストセラー。ベタベタですね。誠実に仕事を頑張ろうとしているそこのアナタ、読めばきっと勇気づけてくれるはず。
水野 敬也の本って、書いてあるコンテンツもそりゃ面白いし、なんか面白おかしくふざけてるけど、でもその中にいつでも困っている人の立ち位置に全力で立とうとする姿勢がとってもいいなぁって思います。(時々、ふざけすぎだけど)


(3)J・D・サリンジャーライ麦畑でつかまえて

インチキ野郎は大嫌い! おとなの儀礼的な処世術やまやかしに反発し、虚栄と悪の華に飾られた巨大な人工都市ニューヨークの街を、たったひとりでさまよいつづける16歳の少年の目に映じたものは何か? 病める高度文明社会への辛辣な批判を秘めて若い世代の共感を呼ぶ永遠のベストセラー。

これもある意味、ベタといえばベタですね。永遠のベストセラーですもの。どこがいいのかと思う人には、ただの悪ガキ小説(?)にしか見えないだろうけど、でも、読む人によっちゃぁ、じわっとくるものがある。春樹訳のも読んでみたい。



(4)村上春樹東京奇譚集

肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

この記事書きながら、Amazonの内容紹介↑読んでたら、読み直したくなった。やっぱり春樹の短編は最高だ。


教育関連書

(5)桜井 公子『どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」』

靴下を探しているせいで遅刻 、洗濯物を干している時に宅急便が来て、荷物をチェックしている間に洗濯物のこと忘れている 、毎日、仕事・仕事…。土日は寝ているだけ 、さわやかな朝が迎えられない、20円の安いティッシュを買いに遠いスーパーまで行って疲れ果てた 、旅行の支度が苦手、いつも他の人より荷物が多い …

こういう日常送りがちな人、読んでみたらいいと思います。私は自分のために買ったけど、ADHD児の支援のためにも結構役に立ちそう。
「障害」って言葉が本当にいいのか、正しい言葉なのかという議論があるけど、この本に出てくる「脳のクセ」という言葉は「障害」って言葉よりもいろんなことを的確にあらわしているんじゃないかな。



(6)袰岩 奈々『感じない子どもこころを扱えない大人』

子どもも大人も「感情」を上手に扱えなくなっている。特に怒り、落ち込み、不安といったネガティブな気持ちに対応ができない。このことが学級崩壊や少年たちの衝撃的な事件を生んだり、大人の社会でもさまざまな困ったコミュニケーションをひき起こしているように思える。かつて家族のなかで自然に行なわれていた、気持ちを取り扱うための訓練―これからは教育の場で、家庭で、意識的にこころのトレーニングをしなくてはならない。子どもたちの発する気持ちのSOSにどう答えるか、大人の感情トラブルをどう解決するか、実践的なこころの扱い方読本である。

子どもの感情を育てる前に、大人自身がちゃんと自分の感情に向き合い、その扱い方をしっかりできているのか、という視点の本。耳が痛いよ。



(7)樫村 悌 『新版 小学生の叱り方 うまい先生へたな先生―子どもを肯定的にとらえる法』

上の本と同様、子どもと同じように悩んでいる「大人自身」がどう生きていくべきかを考えさせる本です。「小学生の叱り方~」は中学生にも十分通用するし、教員向けに書かれているが、親やそのほか子どもの教育に関わる人みんな、読んだらいいような内容になっています。
この本は「叱るとは?」という問題から、「いかに子どもの自己肯定感を養うか」を論じた書である。子どもたちの自己肯定感を高めるためには、「子どものどんな欠点を見せつけられても、そこから逃げ出さない、自分の欲やあせりから動き出さず」に子どもと向き合っていく、大人の精神性がいかに重要かということが論じられている。
私たち大人はつい「素晴らしい教育者」なろうとする。自分の教育者としての値打ちを肯定したいあまり、欲が増え、焦りに繋がる。また、アメやムチを使いこなし、いかに「うまく」子どもを動かすかということにばかり頭が回る。子どもは「教育の対象」でしか、なくなっている。

子どもは、教師の理想や欲求を実現するためにそこにいるのではなく、自分自身の生の担い手として、自分自身の生の担い手として、自分自身を課題として生きる人間として、いかに生くべきかの最終的な決定権を持つ主体としてそこにいるのである。。

この言葉に頭をガツンとやられた。子どもたちの主体性を確保ことを教育者がせずに誰がするのか。肝に銘じておきたい。


(6)ランディ パウシュ『最後の授業 ぼくの命があるうちに』

2007年9月18日、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学の講堂で、1人の教授が「最後の授業」を行った。
教授の名前はランディ・パウシュ。46歳。最後の授業をするにはまだ若すぎるパウシュだが、彼にはこのとき、長年親しんだ大学に別れを告げざるをえない事情があった。膵臓から肝臓へと転移したガン細胞。医師から告げられた命の刻限は――「あと3カ月から半年」。
こうしてパウシュの最後の授業は始まった。スクリーンに映し出された演題は『子供のころからの夢を本当に実現するために』。それは、「最後の授業」であると同時に、幼い3人のわが子に遺すためのメッセージだった。

自己啓発書として手に取ったんだけれども、教育書としても役にたった。「社会の中でどうやって生きていくか」。これを子どもたちと、本気で人生をかけて学んでいかなければならない、そう思わせてくれる本だ。この本の素晴らしいところは、作者が余命宣告を受けていて、幼い我が子に遺す「遺言」的な内容にも関わらず、感傷的なもので終わるのではなく、実践的で論理的に書かれていることである。何が彼をそうさせたか。自分自身の人生を知ってほしいというよりも、自分の知恵を残したいという願望がそうさせたのだ。自分が失うものより、残された人たちが失うものを考えているのだ。私自身もそういう人間でありたい。


その他、ノンフィクションなど

(9)岩城 宏之『フィルハーモニーの風景』

フィルの団員達ってかっこよすぎ。それだけじゃなく、ハープの運搬屋もカッコイイ。むしろ、みんなカッコイイ。「プライドが高い」ってこういうことを言うんだなぁと思う。かっこいい。



(10)角岡 伸彦『はじめての部落問題』

入門の書によい。部落を語ることは自己と他人を語ることである。軽快な語り口と、素直な文体がいいなぁ。



(11)速水 健朗『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』

「ヤンキー文化」のを言葉は違えど「カッコイイ」とする風潮と、「ダセェ」とする風潮が世間はいったり来たりしているような気がしている。
私自身はたぶん「ヤンキー文化」が華やか(?)な時代の間なので、どうしてもヤンキー文化を「ダセェ」と思ってしまう。
で、なんとなく同じような「ダセェ」臭をケータイ小説にも感じていて、このヤンキー文化とケータイ小説をくっつけて考えたことはなかったので「なるほどな~」と思わせてくれた。論点に穴は多いような気がしますが、批判しながら読むにしても面白い評論ではあるとは思う。
※「ダセェ」「ダセェ」と言っていますが、好みの問題なので気分を悪くされた方ごめんなさい。たぶんその方たちから見たらこっちは「ダセェ」のです。

(12)宮下 誠『ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感』

私が一番面白かったのは「オリジナリティ」について言及されている部分。「個性」と「普遍」は相反する概念だと思っている人が未だに大勢いるようだけど、それは違うと思う。そういう間違ったことを信じ込んだまま、奇を衒っただけのものを作り出して、鼻高々になっているエセ芸術家は多い。ピカソストラヴィンスキーの絵画や音楽が本当に素晴らしいのは、それが「個性」的であるからではなく、「普遍」的であるからだ。私がこの2、3年考え続けていることの答えがようやくこの本を読んで見えてきた気がする。ということで、2008年の一番本はこれ。


まとめ

去年読んだ本は、94冊。100冊届かず。内訳は

  • 学校・教育関連が、24冊
  • 自己啓発・ビジネス関連が、22冊、
  • 小説が19冊
  • あとはその他

今年こそ100冊読みたいです。
あと、面白い小説たくさん読みたいなぁ。東野圭吾と伊坂幸太朗の小説の面白さを知りたい。去年も何冊か読んだけど、ヒットしなかった。
別に無理に読まなくてもいいんだけど……今、引き際を探っています。
でも「好きな作家が増える」って人生楽しいじゃないですか。だから探し続けたいです。
いい本あったら是非教えてください。