konnoe’s blog

読書と旅が趣味。人生に疲弊してみたり、希望をもってみたり、、、

2007年ベスト本

 えらい昔の記事ですが、再アップ。

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 私にとって、2006年が夏目漱石yearだったとしたら、2007年は村上春樹イヤーの年でした。春樹初めて読んだとき嫌いだったんだけどなぁ、なんでこんなに好きになっちゃんたんだろう?

 2007年は私の中で春樹yearだと思っていますが、実はmedeia markerの記録なんか見ていると春樹より川端康成の方が多かったりします。

というわけで、今年のベスト本は春樹と川端が多くなります。まあ、とにかく、いってみよう!

■■■■小説編(川端康成編)■■■■■■■■

■01 川端康成『禽獣』

 先に申し上げておきます。上の画像が『伊豆の踊子』になっており、誤解を招くでしょうが、ここでは、川端の代表作である『伊豆の踊り子』は推しません。誰がなんと言おうが、新潮文庫内に一緒に収録されている『禽獣』を推します。そりゃぁ、『伊豆の踊り子』は日本の代表的な文学作品でしょうが、それでも、誰がなんと言おうが『禽獣』。鳥が大好き変態じいさんのお話。鳥の足だって嘗めちゃいます。 変態チックなんだけど、一つ一つの細やかな表現が非常に素敵な作品です。

 

■02 川端康成『古都』

生き別れた双子の話。世界が愛した川端流日本の美。閉鎖的な世界がたまらん。

■03 川端康成『山の音』

小さな短編を組み合わせてできたような作品。夏目漱石が『彼岸過迄』で試みた実験を川端の感性で(ノリで)さらりとやっちゃった感じ。

■■■■小説編(村上春樹編)■■■■■■■■

■04 村上春樹 『神の子どもたちはみな踊る

 世界には時々、とぎれ目みたいなものがあって、その前後では、同じ世界が全く違って見える。基本的に春樹が描く小説は、そういう世界をクローズアップして書いたものだと思っている。この小説では、たまたまそれが阪神大震災だったということ。新潮文庫カバー裏に「黙示録」とあるが、まさしくそう呼ぶにふさわしい短編集。何年か前に、読んだことはあったが、本書の魅力はよくわからなかったけれど、今回は心にズザァと一つ一つの物語が染みこんできた。

■05 村上春樹ダンス・ダンス・ダンス

 春樹の小説に出てくる偏屈な主人公と合間に出てくる箴言が何よりも好きだ。

「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言ってることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。なぜ踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ」

さぁ、踊ろう

■06 村上春樹国境の南、太陽の西

「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて……。

 泣いた。号泣した。人間はずっと変われないのかもしれない。欠点を抱いたまま死んで行かなくてはならないのかもしれない。そう考えるととてつもなく悲しくなってきた。

■■■■小説編(その他)■■■■■■■■

■07 マイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』

 自ら銃殺刑を求めた殺人犯の実弟が、血の絆、傷つけられた子ども時代、家族の秘密をたどりつつ、魂の再生を求めた鮮烈な問題作

暴力の恐ろしさに気付かされる。

その他といいながら、春樹訳なんですがね。

■■■■評論、エッセイ編■■■■■■■■

■08 関岡 英之『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』

なぜ今更この本を読んだのかという感じですが。事実なら恐ろしい告発本……じ、事実か。

■09 丸谷才一『思考のレッスン』

 大学一回生で読んでおけば良かった!!!!大学で習ったことのほとんどがここに書いてあった!もし、これを見ているこれから大学入学予定者、つべこべ言わずに読んでほしい

 基本的に、2007年は読んだ冊数も少なかったし、読んだことのある本ばかり読んで新しい本を開拓しなかったから、「2007年ベスト本」はこんなことになちゃったんだろうな。いやいや、別にどれだけ本を読んでもオススメできる本ばかりですが。たまたま、好きな作家の好きな本をこの年に読みまくったということで…。来年はもっと本読むぞ!!