konnoe’s blog

読書と旅が趣味。人生に疲弊してみたり、希望をもってみたり、、、

2014年ベスト本

2018/09/25更新

2014年の読書ふりかえり

2014年は、102冊の本を読みました。
年間にせめて100冊は読もうというのが自分の中の目標なので、その目標は達成しました!

2014年は、今まで読んだことのない作家を開拓して自分の人生のバイブルになりそうな本も何冊かできたので、いい読書年だったなぁ、と思います。
では、今年のベスト本紹介してみましょう。今年は15冊と多いです!


■■■「いい作家に出会えたなー」編

01 石垣りん石垣りん詩集」


戦後の時間の中で、家族と会社と社会とに、ひるむことなく向き合い、自らを律して生きてきた詩人・石垣りん。『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』から『やさしい言葉』まで、小さきもの弱き者らへの慈しみや孤独な心情を観念や叙情の中に鮮やかに解き放った全4冊の詩集から代表詩を選び、女性の生き方に自由と活気と自立をもたらした言葉の歴史。

石垣りんの生き方は、とても美しい。
強くて、鋭くて、そのわりに繊細さや弱さがある。
生活の醜さと美しさが混在している。
その彼女の詩は、彼女の生き方がそのまま形になったものだろう。
ぜひ一読してみてください。震えます。



02 宮城谷昌光楽毅


古代中国の戦国期、「戦国七雄」にも数えられぬ小国・中山(ちゅうざん)国の宰相の嫡子として生まれた楽毅は栄華を誇る大国・斉の都で己に問う。「人が見事に生きる」とは、どういうことかと。諸子百家の気風に魅せられ、斉の都に学んだ青年を祖国で待ち受けていたのは、国家存立を脅かす愚昧な君主による危うい舵取りと、隣国・趙の執拗な侵略だった。才知と矜持をかけ、若き楽毅は祖国の救済を模索する。

03 宮城谷昌光太公望


羌という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す―。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企てであった。少年の名は「望」、のちに商王朝を廃滅にみちびいた男である。中国古代にあって不滅の光芒をはなつこの人物を描きだす歴史叙事詩の傑作。

2014年、私のなかで一番熱かった作家といえば、宮城谷昌光。中国の殷時代のことが知りたくなって、たまたま見つけた「太公望」で、完全に宮城谷昌光にハマってしまった。まさかこんなにはまるとは。もう名言、金言、箴言のオンパレード。そして、それぞれの登場人物の生き様のかっこよさよ!
いろんな場面で頑張ろうという背中を押してくれる作品が多いので(参考記事1参考記事2) ので、これからもきっと読み続けることになると思う。



■■■「幸福とは何か」「人生とは何か」編

04 細谷 亮太『今、伝えたい「いのちの言葉」』


「人間は、亡くなったらおしまいではない。聖路加国際病院副院長、小児総合医療センター長が小児がんの子どもたちと向き合って40年、小児科医としてはじめて知った「生きることの意味」。

たまたま聖路加病院の小児がんと闘う子たちの番組を見たときに、この先生の存在を知りました。どこまでも子どもやその保護者への寄り添いが全力で、この人は何を考えて仕事をしているのだろうと思って、この本を読みました。「命を大切に生きること」を心から考えさせられる一冊です。


05 やなせたかし『わたしが正義について語るなら』

アンパンマンの作者、やなせたかしの一冊。小さいころに「アンパンの世界は食べものに関するキャラクターが多いんだ?」と疑問に思っていたわけです。だってアンパンとか、弱そうじゃん。すぐふやけるし…でもこの本を読むとやなせたかしの戦争体験からくる平和への思いがそこには込められているのだと思った。こんな言葉がある。

…どこかの国で戦争が起きると、戦争している国同士は両方正義だ、悪い奴をやっつけると正義が勝つと言って戦っているけれど、子どもたちのことは見てやらない。そうして子どもたちは次々に死んでいますね。
 だからぼくが何かをやるとしたら、まず飢えた子どもを助けることが大事だと思った。それが戦争体験を体験して感じた一番大きなことでした。

ほんとうの正義というものは、決してかっこうのいいものではないし、そしてそのために必ず自分も深く傷つくものです。そしてそういう捨て身、献身の心なくしては正義は行えません…

正義とは何か、自分の中にもう一度問い直してみたいです。


06  ビートたけし『僕は馬鹿になった。―ビートたけし詩集』

タレントとして好きかと言われるとあまり好きな方ではないけれども、いい詩を書く人だなと素直に思います。私が好きな詩は「騙されるな」です。いつも何かを「頑張れ、頑張れ。とにかく人生で何かを手に入れろ」というようなことを言っていますが、実はもっと大事なことが人間にはあるということを改めて思い出させてくれます。ビートたけしってこんなセンシティブな人なんですね。



07  岸見 一郎, 古賀 史健 『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』


フロイトユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊。欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示します。

言わずと知れたベストセラー。幸せになれる答えが詰まった一冊です。
いろいろ考えさせられ、かつ勇気がわく本です(参考記事:幸せについて2014 - konnoe’s blog)。



08 ジョン・キム 「真夜中の幸福論」


悩んでいる読者に向かって、「自分と向き合い、悩みなさい。そして、どんな瞬間も自分を信じなさい」とエールをおくる本。絶対不可侵の、純度の高い自分になるために。

悩みから解き放たれたいという思いから、悩んでしまう自分を責めていた。そこには救いも何もない。筆者はこんな風に言う。

10 代、20 代では、挑戦もそれほどたくさんしていないし、自分が残してきた実績もない。自分の中で強がる自信はあったとしても、自信の裏にある根拠はなかなか探せない。高い目標を目指して一生懸命頑張っているけれど、心の中ではなぜか不安がつきまとっている。でも、それは若い人には当たり前のことだし、若い人の特権でもあるのだ。むしろ、漠然とした不安があるからこそ、もっと信頼できる自分を作ろう、プライドを高められる根拠を作ろう、という動機付けにもなる。若い時代の漠然とした不安というのは、ネガティブな証拠なのではなく、ポジティブな証拠なのである。むしろ、漠然とした不安を持っていたほうがいい

悩んでいい。

同じ著者の『真夜中の幸福論』もおすすめです。



09 岡本太郎『強く生きる言葉』

岡本太郎が普段の生活の中で動きまわりながら、ふっと洩らす言葉。その中から彼の独特の哲学、人生論というべきものを集める。


岡本太郎くらいストイックに生きれたらシビレるだろうな!

自信なんてことを目標にしなくていい。また、すべきじゃない。自信なんてことを考えるから、人の目が気になるんだ。
ぼくは自信があるとは思っていない。自信なんてものは、どうでもいいじゃないか。そんなもので行動したら、ロクなことはないと思う。

自信に満ちて見えるといわれるけれど、僕自身は自分を始終、落ち込ませているんだ。徹底的に自分を追い詰め、自信を持ちたいなどと卑しい考えを持たないように突き放す。



■■■「日本の古典は面白い」編

10 冲方 丁『はなとゆめ』


清少納言は28歳にして帝の后・中宮定子に仕えることになる。内裏の雰囲気に馴染めずにいたが、定子に才能を認められていく。やがて藤原道長と定子一族との政争に巻き込まれ……。美しくも心震わす清少納言の生涯

11 『むかし・あけぼの―小説枕草子


美しいばかりでなく朗らかで怜悧、しかも文学的才能もゆたか、という類まれな女主人・定子中宮に仕えての宮中ぐらしは、今まで家にひきこもり、渇き喘いでいた清少納言の心をいっきに潤して余りあった。男も女も、粋も不粋も、典雅も俗悪も、そこにはすべてのものがあった。「心ときめきするもの」など、小さな身のまわりの品、事象を捉えて書きつけた『枕草子』の小説。

今年は日本の古典文学を題材にした小説に目覚めた年だったのですが、そのきっかけになったのが「はなとゆめ」です。そしてさらに詳しく読みたいと思って、有名な「むかし・あけぼの」を読みました。
両方とも枕草子にある清少納言への定子への敬愛や宮仕えのへの喜びがひしひしと感じられる。道隆一族が没落していきつつも、必死で定子サロンのきらびやかさを守ろうとした女のプライドもまたいいと思います。二つの清少納言を読み比べるのも面白いと思う。



12 井上 靖『額田女王


大化改新後の激動する時代、万葉随一の才媛で“紫草のにほへる妹"とうたわれた額田女王をめぐる大ロマン。朝鮮半島への出兵、蝦夷征伐、壬申の乱……と古代国家形成のエネルギーがくろぐろと渦巻く中で、天智・天武両天皇から愛され、恋と動乱の渦中に生きた美しき宮廷歌人の劇的で華やかな生涯を、著者独自の史眼で綴り、古代人の心を探った詩情ゆたかな歴史小説

平安の清少納言の物語から一変して、時代は奈良。額田王の話です。「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」ですね。このあたりの歴史の時系列が頭の中でいつも混乱するのですが、わかりやすく面白かったです。額田王によって、中大兄皇子大海人皇子が対比的に書かれているのですが、その二人の描写もよかったです。

3冊ともわかりやすいので、入門書としても◎




■■■自己啓発本

12 水島 広子 『「いつも忙しい」がなくなる心の習慣』

この著者の本はいくつか読んでいますが、私はこれがベストだと思う(今のところ)。「忙しい、忙しい」って言っていても、世間って冷たいもんで「仕事できないんでしょ」とか「効率よくすれば」みたいな感じで対応され、「じゃぁ、お前がしろっての!」とイラつくか、「そうだよね、私って仕事できないダメ人間だよね」と自己否定のどちらかなんですが、そういうイラつく気持ちや、自己否定の気持ちにちゃんと寄り添いながら、解決法を示してくれるところが、好感がもてます。「忙しい!」と感じたら読むようにしています。

13 中村 将「寝る前に読むだけでイヤな気持ちが消える心の法則26」

こういう系の本ってピンとくるものがなかなかないんですが、この本は視点が新鮮でなかなか面白く読めます。この中で私が一番使うのは、緊張するときに満塁ホームランを想像することです。

■■■そのほか

14 沢木 耕太郎 『深夜特急2―マレー半島シンガポール―』

香港・マカオに別れを告げ、バンコクへと飛んだものの、どこをどう歩いても、バンコクの街も人々も、なぜか自分の中に響いてこない。〈私〉は香港で感じた熱気の再現を期待しながら、鉄道でマレー半島を南下し、一路シンガポールへと向かった。途中、ペナンで娼婦の館に滞在し、女たちの屈託のない陽気さに巻き込まれたり、シンガポールの街をぶらつくうちに、〈私〉はやっと気がついた。

深夜特急、昔から気になっていたんですよね。といいながら、読む機会がなかなか現れず…(自分で作らなかっただけなのですが)。1巻を初めて読んだ時は期待が高すぎて、逆につまらなく感じて、だらだらーと2巻に突入したわけですが、ここでなぜか熱がはいってきて面白くなってきました。旅っていいですよね。自分がいったことのない世界へ連れて行ってくれるそんな素敵な時間を堪能できる書です。まだ全巻読んでいるわけではなく、ちまちま読みすすめています。贅沢だわ~!


15 村上春樹「女のいない男たち」

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」から1年、村上春樹、9年ぶりの短編小説集。表題作は書下ろし作品。

やっぱり春樹が好きだ。私は村上春樹を読む前、短編小説集のその中のお話の一つが好きだったりすることはあるんだけれども、短編小説「集」としては楽しめなかった。村上春樹の短編小説集は、もちろん一つ一つのお話を楽しむこともできるんだけど、それが集まった一つの本として楽しんで読める。あ、「楽しんで」というのはもちろん面白いって意味ではなくて、1つの短編集と1つの短編小説の間が「好き」というか、その間に感じる感情がいいというか、気持ちいいというか、なんか言葉にできないけど、話と話の間に感じるなんか「モヤ~」とした感覚が好きなのです。私はこの短編小説集に久しぶりにそれを深く(?)感じたのでこれを2014年ベスト本に選びました。


以上、15冊。2014年は自分の中でヒットした作品が多かったです。


実はこの記事、2014年に途中まで書いていたものを下地に書きました。書き足してみると、悲しいことに、感動が薄れているのがよくわかって、あの時確かもっと興奮してたよな~なんて思いながら、この記事を仕上げました。感動ってそのままでは残しておけないので、冷めないうちに文字にしておくことは大事なので、ちゃんと年度末に振り返りすることは意外に大事なのかもしれません。また、そういうか過去の記事を書き直すことで、その元となる本を読み直す機会が増えるようにも思うでの、それはそれでなかなかいい機会なのかも。。。





過去のベスト本記事まとめ(整理しなおしているところはリンク切ってます)

2013年 ベスト本 - konnoe’s blog
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