konnoe’s blog

読書と旅が趣味。人生に疲弊してみたり、希望をもってみたり、、、

2010年ベスト本

2018/09/25更新

2010年の読書を振り返る

2010年度は、全部で108冊読みました。
年間目標冊数は、100冊だったにも関わらず、10月の段階で66冊しか読んでいないというとんでもないことになっていました。
が、11月・12月で42冊も読んだので何とか目標達成となりました。しっかし、2ヶ月でそれだけ読めるんなら、もっと前から読んでおけよという話ですね。
大学時代から「毎年100冊は読もう!」と一念発起してから、早数年……。「1年間に100冊読むこと」自体がそれほどまで負担にならなくなってきたし、無理矢理本を読むということは完全になくなった。やっぱり、読書というのは、ある一定のトレーニングが必要なんですねぇ。「読書はスポーツだ(@齋藤孝)」ですね。

では、毎年恒例の、今年読んだ108冊(よく考えたら煩悩の数じゃないか!)から、ベスト本3冊ドウゾ

 

1、半藤 一利『15歳の東京大空襲

 半藤一利って言ったら、夏目漱石と血が繋がっているとか、「その時歴史は動いた」で見たことあるようなないようなという感じの人ですが、近現代史(昭和史)に詳しい小説家・随筆家のおっちゃんですわな。その人の、少年時代の戦争体験が書かれている本作。
この本には、戦争を語り継ぐ意味が繰り返し問われている。確かに、太平洋戦争が終わって半世紀がとっくに過ぎて去ってしまい、戦争体験者がどんどん高齢化し、亡くなっていく現在、「なぜ戦争を語るのか」「なぜ、戦争を学ぶのか」を現代の日本に住む私たちはもう一度考え直すべき時に来ている。学校で戦争教材を教えるときに、生徒から「なぜ、戦争について学ばなければならないのか。」という言葉はよく出てくる。生徒たちは、この言葉を発するときは、本当にその意味を知りたいわけではなく発せられるのではないが、これはかなり大切な問いだ。小学校までの視聴覚教材などで、「戦争の悲惨さ」そのものはたくさん学んできているし、感じてきているのだ(もちろんその時の「実際の」悲惨さなんて、戦争経験のない後世の私たちにはこれっぽっちもわかることなんてできないんだけれど)。なのに、その上「なぜ学ぶ必要があるのだ?」。今、戦争学習は戦争の悲惨さを学ぶだけの教育だけに終わっている。そのときの実際の人たちの悲惨さや残虐さを感じずに「戦争って怖いよね、二度としてはいけない」なんて、ペラい教訓なんていらないけど、悲惨さや残虐さを知っている「だけ」では、戦争はなくならないから戦争を学ぶ意味なんてない。
 戦争をなくすために、半藤 一利はこう言う。

「自分たちの生活のなかかから“平和”に反するような行動原理を徹底的に駆逐すること、そのことにつきます。」

「なぜ、戦争について学ばなければならないのか。学び『続け』なければならないのか。」私が思うに、戦争と自分の生き『続け』ているこの道との距離を測り『続け』ねばならないからだ。
考えさせられる1冊。



2、児玉 真美『私は私らしい障害児の親でいい』

障がい児をもつ一人の母親の手記。「障がい」以外にも当事者の気持ちが置いてけぼりのまま美談が先行することは大いにあると思う。
筆者はこう言う。

子供の障害がどんなに重くても、どんなに負担が大きかろうと、常に笑顔で明るく強く、弱音を吐かずに、頑張るお母さん。父親だろうと母親だろうと、生身で、そんな絵に描いたような聖母ができるような人間なんて、本当はいないのに。私たち、『しんどいけど、可愛い』という順番だけでものを良い、世間の人たちに媚びるのを、そろそろ返上してもいいんじゃないかと思うんだ。『可愛いけど、しんどい』という順番で、ものをいいはじめてもいいんじゃないか。だって私たちは、世の中の人たちに、美しい姿だね、感動したよ、勇気をもらいましたよ、と褒めてもらうために活きているわけじゃない。私たちは、世の中の人に感動や勇気をあげる社会のオアシスなんかじゃない。褒めてもらうんじゃなくて、世の中のほうにこそ、変わってもらわなくちゃ困る

いろんな人が考えなくちゃいけない。障がい者問題だけに関わらず、どんなに頑張って当事者の痛みや苦しみなんてわからない人が、当事者のために何をなすべきか、どんな社会を作るべきかということを。まずその一歩として読んでみてはどうだろう。


3、村上 春樹 『1Q84』

1Q84 BOOK 3
村上 春樹 / 新潮社 ( 2010-04-16 )
『1Q84』現象にうっかり乗せられてしまった私です(それも2009年ではなく2010年に)。『KAGEROU』現象にはうっかり乗せられないように気をつけます。いや、別に乗せられてもいいんですが。
 BOOK1やBOOK2の時は、「宗教が…」とか「春樹文学におけるこれがあれで…」とか小難しく考えて(私が考えられる範囲の小難しさで)読んでいたんですが、このBOOK3の面白さは、ハラハラドキドキ、単純に物語として面白かった。時間を忘れて読んでしまったよ。ただの恋愛小説だと思ってきゅんきゅんしながら読んでいました。そういう意味では、久しぶりに読み直した『ノルウェイの森』も良かったです。今年やっと何年か越しに気付いたんですけど、本当にいい恋愛小説ですね
初読の時は「何wこの小説…砂吐きそうヽ(゚∀。)ノウェ」とか思った挙げ句、村上春樹から一時、遠退きさえしたのに、今はこんなにハマってしまって…。
時の流れとは恐ろしいもんだ。

過去のベスト本記事まとめ(整理しなおしているところはリンク切ってます)

konnoe.hatenablog.com
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