konnoe’s blog

読書と旅が趣味。人生に疲弊してみたり、希望をもってみたり、、、

2018年 ベスト本

2020/04/26更新
f:id:konnoe:20190716220635j:plain

2018年の読書のふりかえり

 「2019年が始まってから半年後に、何を今さら…」という感じですが、今日は2018年の読書の振り返りをしようと思います。

 2018年の私の読書冊数は、ブクログ(※メディアマーカーのサービスが終了したので、泣く泣くブクログに移りました。)によると169冊だったそうです。と言ってもファッション雑誌みたいなものも入っているので、読書量という意味では多かったのか、少なかったのかよくわかりません。(ファッション雑誌は読書ではないのかとかいう議論は、いったんおいておきましょう。)

 しかし、ここ数年、読書量が減ってきたので、その中では2018年はたくさん本を読んだ年と言えると思います。それは、ひとえにKindle Unlimitedのおかげだと思います。今まで買おうかどうか迷っていた本でもKindle Unlimitedになってならすぐに手を出していたし、あと、Kindle Unlimitedに登録するためにクレジットをAmazonに登録したのでKindle Unlimitedでない本も、ついつい1クリックで買ってしまうことが多かったのです(便利!)。今まで、Kindle本はAmazonのカードをコンビニで買っていたので、Amazonのカードの残金がなくなったら「カードを買いに行く」というひと手間があったのですが、それがクレジットにして完全になくなったのでついつい買ってしまい散財してしまうということに……読書量も増えましたが、積読本も確実に増えたと思います。
konnoe.hatenablog.com





 そんな2018年の私の読書の中でよかった本をご紹介します。




小説

1, フィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

 知っているけど読んだことがなかった名作。ご存知の通りSF小説です。
第三次大戦後の話で、放射能灰に汚されたらしい地球では、生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっており、人工の電気羊しかもっていない主人公のリックは、本物の動物を手に入れるために、莫大な懸賞金を狙ってアンドロイド狩りをはじめる、というような内容です。語り口調はクールでドライな感じなのに、そこにあるセンチメンタルな感じが、すごいツボってしまった。これのおかげで久しぶりにSF小説にハマりました。自分とは違う世界にありながら、自分が現実直面している感情にきわめて近くて、登場人物たちに感情移入してしまったり……これって小説の一つの面白さだと思うのだけれども、SF小説って絶対に自分とは違う世界だから余計にそれを顕著に感じてオモシロイですね。
konnoe.hatenablog.com


ノンフィクション・エッセイ

2,綿本彰『一瞬で自己肯定を上げる瞑想法』

一瞬で自己肯定を上げる瞑想法

一瞬で自己肯定を上げる瞑想法

 瞑想のハウツー本となんですが、瞑想に「至るまで」の心情を丁寧に扱っているところが他のハウツー本とは違うところかなと思います。

瞑想は、やる気と技術だけでは深まりません。私たちが現代を生きる上で失ってきたもの、つまり目の前の自然をありのまま受け入れることだったり、自分の力だけで生きているわけではないという感覚を持つことだったり、*1そういった感覚を取り戻すためのステップが現代人には必要だと、私自身が瞑想を深める上で強く感じています。

 ちょうど私の中で「自分の一人の力だけで生きていきたい」と考えて必死に生きてきたものの、行き詰っていた時期だったので、私の生きとは正反対の”自分の力ではどうすることもできない森羅万象とともに生きていく姿勢”みたいなものに惹かれたのだと思います。
 瞑想はしてみようと何度かチャレンジしたことがあるんですが、習慣化できず、それの一番の理由が「うまくできないから」だったんですけれでも、それは、瞑想をどうにかうまくできるように「コントロール」しており、それは瞑想の根本の思想と矛盾してるわけだから、うまくいくわけないとこの本を読んで初めて気が付きました。それでも「瞑想に失敗はない」という言葉が書かれていて、前向きに瞑想を続けていけそうな気分になりますね。
2018年に読んだ本ではないですが、瞑想がなかなかうまくいかない人にはこっちの本もおすすめです。

ずぼら瞑想 (幻冬舎単行本)

ずぼら瞑想 (幻冬舎単行本)



3、東田直樹『自閉症のうた』

自閉症のうた

自閉症のうた

この記事でも紹介しました。自閉症である東田直樹の作品です。konnoe.hatenablog.com
テレビなんかでこの人の特集を見たこともあるけれども、それなりのハンディキャップがある中で、この人いろんな言葉や思想をどうやって手に入れていったんだろうというのは気になる。最初は自閉症の理解のために手に取って読み始めたのですが、自閉症関係なく、こんな言葉を語れる人間になりたいな。

こっちもおすすめです。



4、 アベナオミ『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』

被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40

被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40

去年は災害が多かったので自分の中でも災害について考えた年でした。
konnoe.hatenablog.com
様々な防災本があり、私もいくつか本を読んでそれぞれに学ぶものが多くありましたが、これはその中でもおすすめです。
マンガやイラストが多くてとても読みやすいのはもちろん、いかに”自分の生活にあった防災”が大事かを痛感させられます。
作者は子持ちなのですが、子持ちどころか結婚していない私も、この本を読んで”自分の生活”で被災することを想定しはじめました。
編集後記に作者も書かれていますが「防災は、オーダーメイド」です。
自分も他人もしっかり守れるように普段から考えていきたいですね。



5、チェコ好き『 旅と日常へつなげる ~インターネットで、もう疲れない。』

はてなブログに移動してきたときに、なんとなくいろんなブログを読んでいるうちにこの方のブログに行きつました。
aniram-czech.hatenablog.com

面白いし、いろんな示唆を与えてくれるこの方の文章は私にとって本当に面白いもので、記事を読んだあと、頭が回転しているなーと感じることが多いんです。
「そんなブログを書いている人が、本を出してるなんて読むしかないじゃないか!」と思って手を出しました。
そして案の定、面白かったです。私は基本、天の邪鬼なので、“みんな”がやってることは斜め上から見ちゃうタイプなのですよ。そして、どこかでそんな自分に酔ってるようなところがあります。(といいつつ、読書なんかは“みんな”が「いい」と言ってるものにすぐに手を出してしまっていますがね……)
ただ、この本を読んで、そういう「自分だけの感性」は、他の“みんな”を見下すためじゃなくて、普通に大事にすべきだなと思いました。

それで一時的に孤独は満たされるかもしれませんが、次々に襲ってくる「みんながやっていること」は、おそらく私たちをどこにも連れ出しはしません。

自分の世界に浸りすぎていることも良くありません。どうしたって人は、たとえどんなに遠くへ旅行にでかけたとしても、自分の思考の枠をこえて何かに接していくことは難しいです。

 自分と他人との間に隔たりを覚えたとき、多くの人はそれを埋めようと、自分の特異な部分を捨てて、みんなに合わせようという意識が働いてしまいます。だけど『一九八四年』の世界から逃れるためには、あなた自身が集団の異分子であることが大切なのです。なぜなら、そうしないとあなたのまわりの人に、新たなことを知る機会を提供することはできないからです。

自分が異分子であることに優越感に浸っていることもあれば、その異分子である自分に孤独を感じ、イライラすることもあります(自己矛盾…)。でもそういう異分子であることを、バランスをとりつつ、大事にできたらなぁと考えされられました。私がこの本を読んで得た感動をうまく書けなくてはがゆくて仕方がない…。
いろんなことを考えて、豊かな人生を送りたいなと思わせてくれる1冊です。



心理

とにかく去年はイライラしてた一年で、アンガーマネジメント系の本ばかり読んでいたような、、その中から面白かったものを厳選して紹介

7、『マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント』

マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント

マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント

わかりやすいです。これにほとんどの巷に売っている「アンガーマネジメント」本の要点は書かれているので、簡単にそれを知りたい人はおすすめ。



6、倉成央『イヤな感情をもとから断つ! 「怒ってしまう自分」が消える本』

イヤな感情をもとから断つ!  「怒ってしまう自分」が消える本

イヤな感情をもとから断つ! 「怒ってしまう自分」が消える本

  • 作者:倉成 央
  • 発売日: 2018/02/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
精神科クリニックで再決断療法および感情処理法を使ったカウンセリングをしている先生の本です。それこそ、どれだけアンガーマネジメントの本を読んで、深呼吸をして、いろんな物事に対応しようとしても、コントロールできないくらいの怒りはあるわけです。頭ではわかっていても、感情が動かない。私たちは”今その場で生まれて、目の前のものにいきなり感情を抱いている”のではなく、”長い人生の中のさまざまな経験の延長戦上の私が目の前のものに感情を抱いている”わけであって、実は今の怒りには人生のいろんなものが複雑に絡み合っているんだと思います。そこを解決して初めて、根本から人間は怒りから解放されるのだと思います。頭でいくらわかっても解決できないのなら、この本を読んでみてはどうでしょうか。


7、水島広子『「他人の目」が気になる人へ 自分らしくのびのび生きるヒント』

怒りは第二感情とよく言われますが、その第二感情の下の第一感情の不安や悲しみに目を向けないとその第二感情は癒されるわけがないのです。というわけで、その不安や悲しみにスポットをあてる本として紹介しておきます。



8、ロバート・I・サットン「スタンフォードの教授が教える 職場のアホと戦わない技術」

上の本でアンガーマネジメントできない時は、この本で対応していた。「私って怒りを抑えられないわ…」って悩んでいるのを通り越して「ってか、そもそも、どうしてこっち側が、悩まなくちゃいけないんだ!!あのアホのために!!」くらいお怒りなら、こっちの方がいいと思います。
アホに関わらないのはあなた自身のためです。利己的になりましょう。人生にはそんな時も必要。




マンガ

田亀源五郎『 弟の夫』

弥一と夏菜、父娘二人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来ます。マイクは、弥一の双子の弟の結婚相手で、そこから三人の生活が始まっていく…そんなお話です。マイクの存在を受け入れることで、自分や社会に対しての見方をもう一度とらえなおす弥一の心の機微が繊細に描かれていて、とても考えさせられます。
セクシャリティだけではない、世間のステレオタイプな考え方に対しての言及があるのでそのあたりにモヤモヤしている人は非常に共感できる作品になっていると思います。
また、途中で入るゲイやセクシャルマイノリティに関するコラムなども面白い。

おざわゆき『凍りの掌 シベリア抑留記』

新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 (KCデラックス)

新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 (KCデラックス)

たまたま舞鶴に行く用事があって、帰り際に立ち寄った”舞鶴引揚記念館”で、自分の無知さにいろいろぶち当たって家に帰ってきてから、「シベリア抑留」について資料を漁っているうちに出てきた漫画。筆者がシベリア抑留体験者の父親から聞いた話をもとに描いたマンガ。可愛らしい素朴な絵なのですが、考えさせられます。戦争というとどうしても、さまざまな殺戮場面を想像してしまうのですが、それとは異質の「絶望」というのがうまく描かれていると思います。

初めて私が父にこの話を聞いた時、
それはそれまで私が学校の教科書やテレビなどで見聞きしてきた
どんな戦争関連の記録よりも異質なものだと感じました。

戦争が生み出す
戦地で人と人が戦う恐ろしさ

しかし父から聞いた話には
それとはまったく違う恐怖がありました。
「絶望」という名の恐怖です。
未来というものが真っ黒に塗りつぶされるような
果てしない「絶望」です

教育

『まんがで知る教師の学び これからの学校教育を担うために』

まんがで知る教師の学び これからの学校教育を担うために

まんがで知る教師の学び これからの学校教育を担うために

  • 作者:前田康裕
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
教員の多忙感に寄り添いつつ、地域と協働していく学校の在り方が描かれています。最近のビジネス書も教育現場に役に立つんだなと改めて思いました。(もちろんそっちに寄りすぎるのは危険なので、しっかり目の前の子どもを見ながら考えることは大事ですが)

↓とっても共感したシーン
f:id:konnoe:20190601202238j:plain
f:id:konnoe:20190601202229j:plain
そうそうそうそう!
子どもたちも社会も、そして教員自身も幸せになれるような教育現場であってほしい。
いや、していきたい。そう思わせてくれます。



まとめ

読書量は多かったものの、仕事で疲れていたので、咀嚼しなくてもいい、やわらかいものが多かったような。
ここ数年は読書傾向としてそんな感じがするなー。やっぱり疲れていると難しいのを読む気力がなくなってしまうのね…。その場ですぐに役立つ付け焼き刃的な本が必要な時もありますが、もっとしっかり読み込む本を今年は読んでいきたいな。


過去のベスト本記事まとめ(整理しなおしているところはリンク切ってます)

2017年 ベスト本 - konnoe’s blog
2016年ベスト本 - konnoe’s blog
2015年ベスト本 - konnoe’s blog
2014年ベスト本 - konnoe’s blog
2013年 ベスト本 - konnoe’s blog
2012年ベスト本 - konnoe’s blog
2011年ベスト本 - konnoe’s blog
2010年ベスト本 - konnoe’s blog
2009年ベスト本 - konnoe’s blog
2008年 ベスト本 - konnoe’s blog
2007年ベスト本 - konnoe’s blog

*1:下線は筆者による